理想の食材を求めて倉吉へ ●2017年に東京から移住 - 天川 慎一さん(カフェ&パティスリー ジョンヌ)

なぜ倉吉銀座商店街に移住しようと思ったのですか?

琴浦産の完全無農薬のいちじくを使ったタルト。

 東日本大震災をきっかけに、より安全、安心な食材を求めて移住したいと思うようになりました。

 当時、私の周りには岡山に移住する方が多かったため、初めは岡山で物件を探していましたが、調べていくうちに隣の鳥取も気になるようになりました。

 そこで旅行がてら一人で鳥取へ向かったのですが、レンタカーでコナン空港から東郷池、倉吉市内、関金温泉へと足を運んでいくうちに、倉吉市は海、山、湖、川がコンパクトに揃っていることに気づいたのです。

 「こんな自然豊かな場所で店を開けたら…」と、直感で移住を決めました。その印象は4年たった今でも変わっていません。

実際、移住してみてどうですか?

カウンターでお客さんと触れ合えるようになった。

 家賃や仕入れ、人件費などの固定費を抑えられる面では、倉吉の方が商売しやすいと思いました。

 また、倉吉銀座商店街周辺は観光地でありながら、地元住民の方も多いため、地元ならではの貴重な情報を教えていただけます。

 東京では選りすぐりのものを手にしたい場合、他県から素材を取り寄せていましたが、移住後はお客さまから近くの信頼できる農家さんを紹介してもらいました。また、私自身も教えてもらいながら自給自足をしています。

 以前は従業員を雇い、週1日しか休みがない生活をしていましたので、移住するなら人を雇わず、自分たちのペースで営業したいと考えていました。
 今では念願が叶い満足しています。

移住を考えている方に一言

ご夫婦ともに明るく、話しが尽きない。

 私の場合、東京で開業していた店は父から譲り受けた物件だったため、土地を手放さなければなりませんでした。

 そのため実家の家族には「長男なのに地方へ行くなんて…」と猛反対されました。

 それでも私たちの移住に対する前向きな気持ちが変わることはありませんでした。今となっては(まだ納得はしてもらえていませんが)、反対していた母も鳥取へ遊びに来てくれています。

 知り合いがいない中で移住するのはとても勇気がいることです。

 ただ、覚悟を決めて移住してしまえばしがらみがなく身軽に動ける分、地元住民より移住者の方がパワフルに行動できるのではないかと思います。不明確なことは遠慮せずに尋ねたり、調べたりすることで少しでも不安要素をなくし、明るい希望を捨てないで頑張ってください。

ひとことメモ

カフェ&パティスリー ジョンヌ
オーナーシェフ 天川 慎一

東京都出身。高校卒業後、調理師学校へ進学。The Okura Tokyo(旧:ホテルオークラ東京)、SEIYO GINZA 西洋銀座(旧:ホテル西洋銀座)を経てフランスへ。ピエール・モデュイ、ル・グルニエ・ア・パン、グランダンなどで修業。帰国後、グローバルダイニングでシェフパティシエとして2年働く。その後独立し、練馬区にて「ラ・ブティック・ジョンヌ」をオープン。10年間経営したのち2017年に倉吉市へ移住、カウンター付きの「カフェ&パティスリー ジョンヌ」をオープン。四季折々の素材にこだわった洋菓子とアットホームな雰囲気の店内で、常連客も多く地元住民に愛されている。

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